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2017 Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections

D:A:D研究:ダルナビル/リトナビルの累積使用はCVDリスク増加と関連する
D:A:D: Cumulative Use of Darunavir/Ritonavir Associated With Increased CVD Risk*

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フォローアップ観察研究において、ダルナビル/リトナビルの5年間累積使用により小さいが有意なCVDリスクが認められたが、アタザナビル/リトナビルではリスクは認められなかった

  • D:A:D:多施設共同前向き観察コホート研究[1]

主要な結論の要約

  • 中央値7年間の追跡調査が行われたHIV感染者35,711例において、ダルナビル(DRV)/リトナビル(RTV)への5年間の蓄積曝露は、心血管疾患(CVD)リスクの59%の有意な上昇と関連した。
    • この関連は、脂質異常症とは関係がないようであった。
  • アタザナビル(ATV)/リトナビル(RTV)の累積使用とCVDの間に、有意な関連は認められなかった。
  • 研究者らは、DRV/RTV曝露とCVDリスクの関連の基礎にある機序について、さらなる研究が必要であると示唆している。

背景

  • 複数の大規模臨床コホート(D:A:D研究対象集団を含む)[2-5]において、第一世代プロテアーゼ阻害薬(PI)の累積使用はCVDリスクの上昇に関連すると示されている。
    • 脂質異常症が関与している可能性あり
    • 薬物クラスとしてのPIには、代謝作用と関連する薬剤が含まれる。
  • HIV感染者集団の高齢化に伴い、CVDの潜在的リスクも上昇する[6]
  • 現行のPIも、CVDリスクの上昇に関連するか否かに関するデータは限られている。
    • D:A:Dコホートの追跡調査に関して2013年に行われた以前の解析では、ATV曝露と心筋梗塞(MI)の間に関連は認められなかった[7]
  • 今回の解析では、現行のPIであるATV/RTVおよびDRV/RTVがCVDリスクと関連するか否かを評価した。
    • ATV/RTVおよびDRV/RTVは、一般的に用いられているPIである。

研究デザインの要約

  • 2009年1月1日から、CVD発症、最終来院+6ヵ月、または2016年2月1日までのいずれか早い時点までに追跡されたD:A:D参加者を対象とした前向き観察研究
    • CVDは中央で判定した以下のイベントの複合評価項目とした:MI、脳卒中、心臓突然死、侵襲的な心臓血管手術(冠動脈バイパス術、血管形成術、頸動脈内膜剥離術)
    • CD4+細胞数およびHIV-1 RNA量をベースラインで測定した。
  • 考えられる研究の限界
    • 評価対象としなかった交絡因子の可能性を否定できない。
    • 観察研究デザインのため、因果関係を確立する能力が限られる。
    • 薬物用量のデータが収集されていない。
      • CVDとDRV/RTVの関連が、異なる用量(600/100 mg 1日2回 対 800/100 mg 1日1回)によって影響を受けるか否かを決定できない。
    • 2009年以降は、ブーストなしのATVに関するデータが限られる。
    • 追跡調査データが限られているため、PIのブースターの選択肢としてのコビシスタットの役割について分析できない。

ベースライン時の特性

  • 元D:A:Dコホートの参加者49,709例中、患者35,711例に対して前向きに追跡調査を行った。
特性 患者(N = 35,711)
男性、n(%) 26,288 (73.6)
年齢中央値、歳(IQR) 44 (38-44)
白人、n (%) 17,085 (47.8)
HIV伝播カテゴリーMSM、n(%) 16,447 (46.1)
HCV陽性、n(%) 6,864 (19.2)
HBV陽性、n(%) 1,439 (4.0)
疾患特性
HIV-1 RNA400コピー/mL未満、n(%) 27,290 (76.4)
CD4+細胞数中央値、個/mm3(IQR) 501 (360-689)
CD4+細胞数最低中央値、個/mm3(IQR) 210 (100-322)
AIDS診断、n(%) 9,799 (27.4)
CVDリスクに関連する特性
現喫煙者、n(%) 14,014 (39.2)
糖尿病、n(%) 1,805 (5.1)
高血圧、n(%) 3,471 (9.7)
脂質異常症、n(%) 14,347 (40.2)
CVDの既往、n(%) 8,515 (28.6)
D:A:D CVDリスクスコア10%超、n(%) 1,753 (5.3)
D:A:D CKDリスクスコア高値(5以上)、n(%) 11,952 (38.4)

HBV:B型肝炎ウイルス、HCV:C型肝炎ウイルス、IQR:四分位範囲、MSM:男性間性交渉者

本解析の記述                                                                            

  • CVD発生率を算出して、ATV/RTVまたはDRV/RTVへの5年累積曝露により層別化した。
  • 潜在的交絡因子について調整を行った後、ポアソン回帰モデルによりCVDとATV/RTVまたはDRV/RTVとの関連を検討した。
    • ATV/RTVまたはDRV/RTVとCVDの間の因果経路に関する因子:ベースライン時の体格指数(BMI)、脂質異常症、CD4+細胞数、糖尿病、慢性腎臓病(CKD)
    • CVDリスクを修飾する因子:
      • ベースライン時の性別、人種、年齢、CVDの既往、登録コホート、ベースラインの日付、HIV曝露カテゴリー、CD4+細胞数最低値、推定糸球体濾過率
      • ロピナビル/リトナビル、インジナビルおよびアバカビル使用に加えてHIV-1 RNA量、AIDSの既往、CVDの家族歴、喫煙、高血圧、HBV、HCVについてのtime-updated値

主要な結果

  • 中央値7年(IQR:6.3-7.1)の追跡調査後、CVD発生率は追跡調査期間1,000人年(PYFU)当たり5.3(95%CI:5.0-5.6)であった。
    • CVDイベントは、研究対象集団の3.2%で発生した。
CVDイベント*、件数 患者(N = 35,711)
合計 1,157
脳卒中 379
血管形成術 459
内膜剥離術 15
MI 354
バイパス術 93
心臓突然死 0

*同一患者が同一日に、複数のイベントを経験した場合がある。

  • CVDの粗発生率は、各PIについて、特にDRV/RTVの場合、累積曝露年数の増加に伴って経時的に上昇した。
    • ATV/RTV:累積曝露0年における粗発生率5.03(95%CI:4.69-5.37)に対して、6年超では6.68(95%CI:5.02-8.35)
    • DRV/RTV:累積曝露0年における粗発生率4.91(95%CI:4.59-5.23)に対して、6年超では13.67(95%CI:8.51-18.82)

累積曝露年数

ATV/RTVまたはDRV/RTVの累積使用における 1,000
PYFU当たりのCVD粗発生率(イベント数/PYFU)

ATV/RTV DRV/RTV
0 5.03
(824/163,785)
4.91
(909/185,246)
0-1 5.82
(75/12,886)
5.88
(52/8,845)
1-2 6.42
(49/7,631)
7.74
(51/6,591)
2-3 6.44
(41/6,369)
8.33
(44/5,285)
3-4 4.23
(26/6,144)
9.51
(39/4,100)
4-5 8.00
(46/5,747)
5.78
(17/2,940)
5-6 6.94
(34/4,898)
10.18
(18/1,768)
> 6 6.68
(62/9,278)
13.67
(27/1,975)
  • 因果経路に関する因子についてのみベースラインによる調整を行った一次モデルの単変量解析では、ATV/RTVまたはDRV/RTVへの5年累積曝露は、いずれのPIへの曝露もない場合と比較して、CVD発生率比の上昇と有意に関連した。
    • ATV/RTV:1.25(95%CI:1.10-1.43)
    • DRV/RTV:1.59(95%CI:1.33-1.91)
  • CD4+細胞数、BMI、CKD、脂質異常症、糖尿病を除くすべての因子について、ベースラインによる調整および時間依存性交絡の調整の両方を行った後の一次多変量モデルでは、DRV/RTVへの5年累積曝露のみにCVD発生率比との関連が継続して認められた。
    • ATV/RTV:1.03(95%CI:0.90-1.18)
    • DRV/RTV:1.93(95%CI:1.63-2.28)
      • DRV/RTVへの5年累積曝露は、CVDリスクを59%上昇させた。
    • 一次多変量モデルでは、先の解析で除外した因果経路に関する因子のほとんど(CD4+細胞数、BMI、CKD、脂質異常症、糖尿病;ビリルビンについては補正せず)について時間依存性交絡の調整を行っても、CVD発生率比に対する著しい影響は認められなかった。
      • ATV/RTV:1.01(95%CI:0.88-1.16)
      • DRV/RTV:1.53(95%CI:1.28-1.84)
      • 影響が認められなかったことは、脂質異常症がリスク上昇に関与していないことを示唆する。
    • 多変量モデルでは、ビリルビンについて時間依存性交絡の調整を行っても、CVD発生率比に対する著しい影響は認められなかった。
      • ATV/RTV:1.05(95%CI:0.89-1.23)
      • DRV/RTV:1.60(95%CI:1.31-1.96)
    • ATV/RTVまたはDRV/RTVを使用しなかった患者を除外した多変量解析では、CVD発生率比に対する著しい影響は認められなかった。
      • ATV/RTV:0.93(95%CI:0.75-1.15)
      • DRV/RTV:1.42(95%CI:1.08-1.87)
  • DRV/RTVへの5年累積曝露によるCVD発生率比の上昇は、MIと脳卒中の両イベントについて個別に解析した場合も持続して認められた。
    • MI:1.51(95%CI:1.13-2.02)
    • 脳卒中:1.49(95%CI:1.08-2.07)
  • 以下について層別化後の交互作用解析では、DRV/RTVへの累積曝露とCVD発生率との関連に有意な変化は認められなかった。
    • 初回PIレジメンにおけるDRV/RTV使用(交互作用についてP=0.29)
    • NNRTIとの併用によるDRV/RTV使用(交互作用についてP=0.43)
    • D:A:DのCVDリスクスコアによる高値と低値の比較(交互作用についてP=0.12)
参考文献
  1. Ryom L, Lundgren JD, El-Sadr WM, et al. Association between cardiovascular disease & contemporarily used protease inhibitors. Program and abstracts of the 2017 Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections; February 13-16, 2017; Seattle, Washington. Abstract 128LB.
  2. Friis-Møller N, Weber R, Reiss P, et al. Cardiovascular disease risk factors in HIV patients--association with antiretroviral therapy: results from the DAD study. AIDS. 2003;17:1179-1193.
  3. DAD Study Group, Friis-Møller N, Reiss P, et al. Class of antiretroviral drugs and the risk of myocardial infarction. N Engl J Med. 2007;356:1723-1735.
  4. Holmberg SD, Moorman AC, Williamson JM, et al. Protease inhibitors and cardiovascular outcomes in patients with HIV-1. Lancet. 2002;360:1747-1748.
  5. Mary-Krause M, Cotte L, Simon A, et al. Increased risk of myocardial infarction with duration of protease inhibitor therapy in HIV-infected men. AIDS. 2003;17:2479-2486.
  6. Costagliola D. Demographics of HIV and aging. Curr Opin HIV AIDS. 2014;9:294-301.
  7. Monforte A, Reiss P, Ryom L, et al. Atazanavir is not associated with an increased risk of cardio- or cerebrovascular disease events. AIDS. 2013;27:407-415.

Date posted:12/25/2017

Translated and published with permission. ©2020 Clinical Care Options, LLC

Disclaimer : Clinical Care Options is not responsible for the accuracy of the translation of this educational product,
including errors, omissions, or misinterpretations that may have occurred in the translation of this product from English to Japanese.

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