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2017 Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections

ARTの切り替えと簡易化

SWORD 1試験およびSWORD 2試験:ウイルス抑制効果が認められたARTからDTG + RPV 2剤併用療法への切り替え


DTG:ドルテグラビル、HBV:B型肝炎ウイルス、ITT-E:intent-to-treat曝露集団、RPV:リルピビリン、TDF:テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、VF:ウイルス学的失敗

Joel E. Gallant博士(MD, MPH):
SWORD 1試験およびSWORD 2試験は、標準3剤レジメン(NRTI 2剤+INSTI、NNRTIまたはPI)で抑制されていた患者1,024例を対象とする並行群間、非盲検、多施設共同、第III相試験で、患者を同レジメン継続群と、DTG+RPVの2剤経口併用による2剤併用療法への切り替え群に割り付けた[16]。主要評価項目は、48週目のHIV-1 RNAが50 コピー/mL未満であった。 52週目に、ベースライン時のARTを継続していた患者をDTG+RPVに切り替え、全例がこの2剤併用療法を148週目まで継続した。70~73%の患者が、ベースライン時にTDFを投与されていたことに注目すべきである。我々が骨への影響を検討する際は、この点を考慮に入れる。

Charles B. Hicks博士(MD):
ウイルス学的失敗歴のある患者はいなかったが、この患者集団はファーストラインARTのみを受けていた集団ではないことに注目すべきである。選択基準にはセカンドライン治療を受けている患者が含まれているが、忍容性および/または安全性への懸念、薬剤入手の問題、または利便性あるいは簡便化の点から何らかの切り替えを実施している必要があった[18,19]

48週目においてウイルス抑制効果が認められたARTからDTG + RPVへの切り替えはベースライン時のARTの継続に比べて非劣性


DTG:ドルテグラビル、RPV:リルピビリン、VF:ウイルス学的失敗

Joel E. Gallant博士(MD, MPH):
SWORD試験の結果は印象的である。全体として、各群の95%の患者が48週目にウイルス学的抑制を維持しており、ベースライン時のARTの継続と比べて2剤併用療法は非劣性であった。ウイルス学的失敗はほとんどなく、データなしのカテゴリーは両群間で有意差はなかった。

2剤併用療法群の41歳の女性1例が、36週目にウイルス学的失敗による中止の基準を満たした。本症例は遵守不良例で、失敗時にK101K/E NNRTI変異が報告された。これがRPVに対する表現型耐性を引き起こさなかったが、遺伝子型混合が存在する場合、表現型は遺伝型ほど有用ではない。INSTI 耐性はなかった。
 
Charles B. Hicks博士(MD):
本症例は試験中止後、DTG+RPVの継続により、45週目までにウイルスの再抑制が認められている。以上より、K101K/E変異は本2剤併用療法レジメンの有効性に影響を及ぼさないようであった。

ウイルス抑制効果が認められたARTからDTG + RPVへの切り替え:安全性アウトカム


AE:有害事象、DTG:ドルテグラビル、RPV:リルピビリン

Joel E. Gallant博士(MD, MPH):
安全性の結果に関して、AEの発現率は52週目まで両投与群間で概ね同等であった。2剤併用療法への切り替え群は薬剤と関連のあるグレード1/2のAEの発現率およびAEによる中止率が数値的に高かったが、多くの被験者が新規薬剤2剤へ切り替えていたため驚くには値しない。いずれの投与群も、48週目において、血清脂質値のベースラインからの顕著な変化はみられなかった。切り替えによって改善されたのは、骨の健康であった。骨特異的アルカリホスファターゼ、オステオカルシンおよびI型プロコラーゲンN末端プロペプチドなどの骨代謝マーカーはいずれも、2剤併用療法の方がベースライン時のART継続に比べ、48週間で有意に減少した。これらの患者の約4分の3が、ベースライン時にTDFベース療法を受けていたことに留意すべきであり、切り替えによって骨の健康が改善することは予想されていた。

Charles B. Hicks博士(MD):
多くの臨床医が必要性を主張していたNRTI非使用レジメンとして、DTGおよびRPVを含む合剤錠が開発されている。私の見解では、この合剤にはいくつかの問題がある。このSWORD試験では、2つの優れた薬剤の併用によって好ましい結果が得られたが、RPVには患者管理上ある程度の不都合がある。例えば、食事とともに服用しなければならないし、プロトンポンプ阻害薬との同時投与ができない[20]。これらの結果は有望である一方、この2剤併用療法は利用可能な他のすべてのオプションと並行して検討すべきである。

Joel E. Gallant氏(MD, MPH):
同感です。結論のスライドで、この試験の著者らが「合理化」という単語を用いたのは興味深い。レジメンの薬剤数のみを考慮するなら、合理化といえるが、食事の有無にかかわらず服用可能であるシングルタブレットレジメンを受けている患者にとっては、RPVを含む併用療法に切り替えることで制限が増え、より複雑に感じるかもしれない。SWORD試験は、私が今後生じるだろうと考えている「2剤 対 3剤」論争の前触れとなるかもしれない。DTG+RPVは臨床医にとって魅力的な2剤併用療法ではないかもしれないが、他の2剤併用療法が現れるかもしれない。何が起こるのかを見るのは興味深い。

Charles B. Hicks氏(MD):
同感です。有効な3剤の使用がHIV治療法として確立されているが、これは各薬剤の寄与が、現代の薬剤よりも少なかった時代に設定されたものである。2剤が同等に有効な可能性があるという考え方で、固定概念に挑むことには明らかに価値がある。

ANRS 167 LAMIDOL試験:3剤ARTでウイルス学的に抑制されている患者におけるDTG + 3TCへの切り替え


3TC:ラミブジン、DTG:ドルテグラビル、f/u:追跡

Charles B. Hicks博士(MD):
この2つ目の試験では、DTGとNRTI 1剤の併用でウイルス学的抑制が維持できるかどうかを検討した。ANRS 167 LAMIDOL試験は、異なるファーストライン3剤ARTレジメンのいずれかでウイルス抑制されているCD4+細胞数が200個/mm3超の患者110例を対象に、フランスで実施された非対照、非盲検、単一群、多施設共同試験であった[21]。本試験の第I相では、治験責任医師らはベースライン時のNRTI 2剤を継続しながら、レジメンの第3の薬剤をDTGに切り替えることによって、DTGの忍容性を確保した。8週間後もHIV-1 RNAが50コピー/mL以下に抑制されていれば、NRTI 2剤を3TCに切り替える。本試験の第II相では、104例にこのDTG+3TCによる2剤併用療法を56週目まで48週間実施し、56週目に有効性の主要評価項目を測定した。

LAMIDOL試験の中間解析:DTG + 3TCへの切り替えはウイルス抑制の維持に有効


3TC:ラミブジン、AE:有害事象、BL:ベースライン、DTG:ドルテグラビル

Charles B. Hicks博士(MD):
本スライドの表は、全体的にDTG+3TCによる治療の成功を示している。48週間の2剤併用療法後、104例中101例(97%)で抑制が維持されていた。3例はウイルス学的失敗に陥ったが、いずれもINSTI耐性は出現しなかった。7例に重篤なAEが発現したが、2剤併用療法と関連ありと判断されたAEは2例のみであった。

LAMIDOL試験の結果は有望であり、多くの人々がこの戦略に興奮している。この比較的小規模な単一群試験から、ART3剤併用療法の継続との比較では、DTG+3TCへの切り替えを追求する価値があるという結論が得られ、実際、現在複数の第III相試験において、初回ARTとして[22,23]またはウイルス学的に抑制されている患者に対する切り替え戦略として[24]、この2剤併用療法の評価が行われている。本試験で使用した用量の300 mgの3TCとDTG 50 mgを配合し、非常に小さい錠剤が作られた。

大規模試験においてDTG+3TCが高いウイルス抑制率を示せば、ファーストラインまたは導入/維持療法としての本レジメン利用は、非常に費用対効果が高いと考えられ、あるモデル化試験によると、米国では5億ドルを上回る節約につながると推定される[25]

Joel E. Gallant博士(MD, MPH):
DTG+3TCは2剤レジメンと3剤レジメンに関して、今後見込まれる議論の中心にあると考える。これは私にとって、上述したDTG+RPVレジメンよりも、費用、簡便性のいずれの理由からも興味深いが、これまでのところ、その有効性を支持するデータは限られている。LAMIDOL試験での切り替え患者104例 が、PADDLE試験[26]で本レジメンをファーストライン治療として開始した20例に加わったことは心強いが、さらに進めるためには、第III相試験のデータが重要となる。

Charles B. Hicks氏(MD):
薬剤開発の立場から言うと、承認済みのARV薬を併用レジメンの一部として用いると承認過程が簡便化される。さらに、新規HIV感染者数が減少している中、米国の最大の患者プールは、実際には、治療を始めようとしている治療歴のない患者ではなく、すでに治療によって抑制されている患者である。このように、治療歴のある患者における忍容性および有効性に焦点を当てることは、毎年約4万人の新規HIV感染者の初回治療に焦点を当てるより、おそらく、より実行可能な戦略である。

DOMONO試験:ウイルス学的に抑制されている患者においてDTG単剤療法への切り替えが不十分である


d/c:中止、DTG:ドルテグラビル、VF:ウイルス学的失敗

Joel E. Gallant博士(MD, MPH):
DTG単剤療法の小規模単一施設試験が、欧州で多数報告されている[27-30]。観察試験も、小規模パイロット試験もあるが、そのうちの一部では、薬剤耐性を伴う失敗が認められている。DTGを併用療法で利用した場合、耐性はほぼ生じないため、これが警告となったと考えられる。CROI 2017で発表された2件の試験は、DTG単剤療法アプローチを決定的に却下するものである。1つ目のDOMONO試験は、ウイルス学的失敗歴のない抑制患者を対象に、DTG単剤療法への切り替えとベースライン時のARTの継続を比較した無作為化試験である。24週目の主要解析で、単剤療法への切り替えの非劣性が確立されていた[31]。全例が、24週目にDTG単剤療法に切り替えることができた。48週目までの拡張解析の結果、ウイルス学的失敗率が高いことが判明し、試験の早期中止に至った[32]。事実、DTG単剤療法は併用ARTと比べて失敗率が有意に高く(10% 対 2%、P = 0.03)、シーケンシングデータが入手可能な単剤療法患者6例中3例にINSTI耐性が出現した。

DTG単剤療法への切り替え後のINSTI耐性出現


DTG:ドルテグラビル、VF:ウイルス学的失敗

Joel E. Gallant博士(MD, MPH):
2つ目の例は、さまざまな理由によって、併用ARTからDTG単剤療法に切り替えた患者を評価する国際、多施設共同、レトロスペクティブ試験であった[33]。INSTIによる治療時のウイルス学的失敗歴、またはINSTI耐性を有する患者は除外した。全体で、単剤療法に切り替えた患者122例中11例(9%)がウイルス学的失敗に陥り、うち9例はさまざまな経路によりINSTI耐性が出現した。

これ以上、DTG単剤療法試験を実施しないで欲しいと思う。まずは、慎重に研究されているDTG+3TC 2剤併用療法を理解する必要がある。現時点では、費用や毒性の観点から、DTG単剤療法の方が、DTG+3TCよりもいくらか優れていると考える理由はない。

Charles B. Hicks博士(MD):
100%同感です。DTG単剤療法は、少なくとも初期には、かなり高い抑制率を示した。しかし、これらの患者で治療が失敗した場合、 INSTI耐性が出現した。このような成功と失敗を分けるきわめて細い境界線上を歩くことには全く意味がない。Gallant博士が述べているように、これらの試験によってこの戦略が最終的に無効になることを期待する。これは明らかに、臨床実践に採用すべき戦略ではない。

Translated and published with permission. ©2020 Clinical Care Options, LLC

Disclaimer : Clinical Care Options is not responsible for the accuracy of the translation of this educational product,
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