2020年3月12日
「ロンドンの患者」は現在もHIV未検出
‘London patient’ remains HIV-free
Ravindra Gupta first presenting the case at CROI 2019 in Seattle. Photo by Liz Highleyman
ロンドンの患者は、抗レトロウイルス療法を中止してから30ヵ月が経過したがHIV未検出状態が続いていると、University College LondonのRavindra Gupta教授がConference on Retroviruses and Opportunistic Infections(CROI 2020)で報告した。新型コロナウイルス(COVID-19)の影響の懸念により、今週ボストンで開催される予定だった対面での会議は中止となり、代わりにオンライン上で結果が報告された。
2016年、この男性はリンパ腫の治療のためにHIVに対して自然耐性を持つドナーの幹細胞を用いた骨髄移植を受けた。これはリスクが高い処置であるため、がん治療を受ける必要のないHIV感染者の治療選択肢ではない。しかし、研究者らは遺伝子治療を用いてこの効果を模倣するいくつかの方法に取り組んでいる。
2017年にHIV治療を中止して以来、この男性の血液、精液、リンパ節、腸組織または脳脊髄液中に機能性HIVは検出されていない。
数学的モデリングに基づいて、Gupta氏は、HIV感受性細胞の90%以上がドナーのCCR5-delta-32変異を保持している(キメリズムと呼ばれる)と仮定した時、「生涯にわたる寛解」が得られる確率は99%であると算出した。最後の検査においても、その男性の末梢T細胞キメリズムは99%であり、完治が「ほぼ確実」であることが示された。しかし、専門家の中には、完治と確定するにはHIV治療を行わずに、さらに観察する必要があると考えている人もいる。
この症例がCROI 2019で初めて報告された時、彼は単に「ロンドンの患者」と呼ばれていたが、月曜日にThe New York Timesのインタビューに答え、名前がAdam Castillejoであると公表した。今回発表された最新の報告により、Castillejo氏が、以前「ベルリンの患者」と呼ばれていたTimothy Ray Brown氏に次いでHIVが完治した2番目の患者となったことが示された。
関連サイト
- Read this news story in full on aidsmap.com
- Read the published report in The Lancet HIV (open access)
- Visit our conference news pages for all our CROI 2020 coverage
本記事は日本国外の治療に関するニュースであり、本邦では承認されていない薬剤あるいは本邦とは異なる効能・効果、用法・用量で使用されている成績が含まれていますので、ご注意下さい。
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