2020年3月12日
抗レトロウイルス薬による治療中の体重増加は糖尿病リスクを上昇させる
Weight gain on antiretroviral treatment raises risk of diabetes
CROI 2020で発表された2つの大規模解析により、抗レトロウイルス薬による治療開始後の体重増加は、糖尿病リスクを上昇させる可能性が高いが、心血管疾患のリスクは上昇させないことが明らかになった。
サハラ以南のアフリカで実施されたいくつかの無作為化臨床試験と北アメリカとヨーロッパでのコホート研究は、抗レトロウイルス薬による治療開始後に、特に黒人女性とドルテグラビルとテノホビルアラフェナミド(TAF)の両方に曝露した人がかなり体重増加することを示している。
体重増加の影響は明らかになっていない。体格指数(BMI)が高いことが、糖尿病や心血管疾患のリスクが高いことと関連していることを示した一般集団やHIV感染者を対象とした研究があるが、すべての研究が関連を示したわけではない。
研究者は、ADVANCE試験と抗レトロウイルス薬による治療に関連した有害事象をモニターするために開始されたD:A:D観察コホートからのデータを用いて、心血管イベントまたは糖尿病のリスクに対する、抗レトロウイルス薬による治療中の体重増加の影響を算出した。
両方のコホートで、心血管疾患のリスクに有意な変化はみられなかったが、体重増加に関連して糖尿病のリスクは上昇した。
ADVANCE試験では、糖尿病のリスクはドルテグラビル、TAF、エムトリシタビンを服用している人では0.30%から0.90%に、エファビレンツ、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF)、エムトリシタビンを服用している人では0.30%から0.70%に、ドルテグラビル、TDF、エムトリシタビンを服用している人では0.40%から0.50%に上昇した。
D:A:Dコホートでは、BMIが少なくとも2 kg/m2増加した場合には(体重が安定したままであったのに比べて)、ベースラインの体重のすべてのカテゴリーで、一貫して1.5~2倍糖尿病のリスクが上昇した。
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