2020年3月14日
サルを使ったPEP試験が2回投与で予防可能であることを示唆
PEP study in monkeys finds two doses offer protection
「曝露後感染予防(PEP)についての研究発表を3つも見るのは、何年も全くなかったのでわくわくする」と、CROI 2020のセッションの1つの座長であるUniversity of PittsburghのSharon Hillier教授は述べた。
1つの試験では、アカゲザルにPEPを2回経口投与し、サルに適応したウイルス(SIVMac)を直接注射しても、6匹はHIVに感染しなかった。
この試験は、以前はMK-8591として知られ、他のHIV薬より低用量で効力が強く、効果が長続きすることが分かっているislatravirを用いた。
この試験では、12匹のサルに多量のSIVMacを静脈内注射した。6匹にはプラセボを投与した。その他の6匹には経口でislatravirを投与した。最初のテストでは、1ヵ月コースの治療を受け、注射後1、8、15、22日目にislatravirを投与し、感染予防できたことが分かった。次に6週間の中断後、再び注射し、より少ない日数の治療を受けた。治療を1日目と8日目に受けただけで感染を防止できることが分かった。
これらの結果がヒトにも当てはまるなら、1週間間隔をあけた経口2回投与によるPEPはHIV感染を防ぐのに十分である可能性がある。
会議の同じセッションで興味深いPEP試験がさらに2つ発表された。
サルでの用量設定試験ではテノホビルアラフェナミド、エムトリシタビン、インテグラーゼ阻害薬であるビクテグラビルの3剤の組み合わせを用いた。個々のサルには、サルに適応した毒性の強いHIV(SHIV)を直腸に8回注入し、ウイルスの注入は2週間間隔をあけて行い、4つの投与スケジュールを調査した。
PEPをSHIVに曝露した6時間後、そして30時間後に投与した場合、このレジメンでは6匹のサルのうち5匹が8回曝露せず、それは有効性90%に相当した。曝露の12時間後と36時間後に投与した場合、6匹のサルのうち4匹が曝露せず、2匹の感染は7回目と8回目の曝露で起こったが、それは有効性82%に相当した。あとの2つのスケジュール(24/48時間と48/72時間)は感染予防をできなかった。
もう1つの試験では、テノホビルアラフェナミドとエルビテグラビルを含む膣内や直腸内で使用することができる小さな局所挿入薬または小さな坐薬を、サルの実験でPEPの方法としてテストした。プラセボ挿入薬を投与した5匹のサルのうち4匹が、SHIVの2~13回のチャレンジ後に感染した。それとは対照的に、試験の挿入薬を投与したサルでは、13回のチャレンジ後でも感染を起こしたサルはいなかった。
まとめると、これらの試験は、HIVへの曝露後数時間以内にPEPを利用できるならば、PEPのレジメンをより強力な薬剤のより短いコースに変えられる可能性を示唆している。
関連サイト
- Read the islatravir story in full on aidsmap.com
- View the islatravir abstract on the conference website
- Read about the other two PEP studies on aidsmap.com
- View the bictegravir abstract on the conference website
- View the PEP insert abstract on the conference website
本記事は日本国外の治療に関するニュースであり、本邦では承認されていない薬剤あるいは本邦とは異なる効能・効果、用法・用量で使用されている成績が含まれていますので、ご注意下さい。
記載されている医薬品のご使用にあたっては、必ず各薬剤の製品添付文書をご参照下さい。