2020年3月17日
広域中和抗体を産生するHIVワクチンがヒトでの最初の安全性試験に合格
HIV vaccine that generates broadly neutralising antibodies passes first human safety study
Alison Rodger at the PARTNER 2 press conference. Photo by Gus Cairns.
HIVに対する広域中和抗体を産生するようにヒトの細胞を誘導するワクチンについて、CROI 2020で発表された。
大部分のワクチンは、免疫系のB細胞を、抗体を作るように誘導することで効果を発揮する。これまでの試験で、抗HIV抗体反応を誘導できるHIVワクチンがあることは示されていたが、それらは効果がなかった(最近のHVTN 702試験のように)か、またはわずかに有効であったことが(RV 144ワクチン試験のように)証明されていた。
広域中和抗体(bNAb)は、1つには幅広いウイルス株に対して活性があるために、強力なワクチンと治療の基礎となる可能性がある。昨年、1つのワクチン試験がサルを使って、bNAbを産生するように誘導することに成功した。その試験の後継試験が、現在ヒトで進行中である。
今年、異なる技術がCROIで発表された。米国のNational Institutes of Healthによる試験では、ウイルスベクターワクチンが用いられた。これはアデノ随伴ウイルスAAV-8の殻から構成されており、ウイルス遺伝子は、HIVの治療法・PrEP・治癒の方法の開発のための研究に広く使われてきたbNAb であるVRC07の産生のための配列をコードしているDNAによって置き換えられていた。
第I相安全性試験では、このワクチンは8名のHIV陽性の志願者に投与された。最初の3名の志願者は、体重kg当たり500億ベクターゲノムの用量が投与された。3ヵ月後、次の2名の志願者が、キロ当たり10倍のベクター(5,000億)を含むワクチンを投与された。最後の3名の志願者には、元の用量の50倍(2.5兆ベクター/kg)が投与された。
ワクチンの投与を受けた志願者は、程度の差はあっても、全員がVCRC07抗体を産生した。しかし、これは安全性試験であるため、産生されたVCRC07のレベルが抗ウイルス作用を発揮するのに十分であるかどうかはまだ不明である。
この試験は、ワクチンがヒトにおいてbNAbの産生を誘導可能なことを初めて示唆している。
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