2020年3月19日
HIVに感染している初産の母親はドルテグラビルによる治療を受けるとエファビレンツより体重が増加する
New mothers with HIV gain more weight on dolutegravir than efavirenz
Image by Brian Odwar / Pixabay.
HIVに感染している女性がドルテグラビルを服用していた場合、出産後1年間の体重増加量が、エファビレンツの場合よりも有意に多かったことが、サハラ以南のアフリカでの2つの試験で明らかになった。しかし、そのうちの1つの試験では、ドルテグラビルによる治療を受けていた女性は体重がより増加するが、HIV陰性の女性よりは増加が多くないことが示された。これは、エファビレンツが体重の増加を制限している可能性を示唆している。
この結果は、先週のConference on Retroviruses and Opportunistic Infections(CROI 2020)で発表された。Bostonで予定されていた会議が新型コロナウイルスCOVID-19に関する懸念から中止となり、オンラインで発表された。
ボツワナでの観察コホート試験では、H IV陰性の妊婦122名と、ドルテグラビル、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF)、エムトリシタビン(女性170名)、またはエファビレンツ、TDF、エムトリシタビン(女性114名)による抗レトロウイルス療法(ART)を受けているHIVに感染している妊婦を採用した。
産後4週間の時点のBMIは3群で同程度であったが、18ヵ月後は、ドルテグラビルを服用している女性とHIV陰性の女性は、エファビレンツを服用している女性よりも約5 kg重かった。
もう1つの南アフリカとウガンダでの試験でも、妊娠中にドルテグラビルベースの治療を開始した女性は、エファビレンツベースの治療を受けた女性よりも、産後の体重増加が多かったことが明らかになった。ドルテグラビル群の女性はエファビレンツ群に比べて、追跡期間終了時の体重が平均4.35 kg多かった。
ARTに関連した体重増加については、インテグラーゼ阻害剤ドルテグラビルに焦点の大部分が当てられてきたが、ヒトのエファビレンツの代謝方法の遺伝学的な違いも、レジメン間の体重増加の違いを説明できる可能性がある。アフリカ系の約5人に1人は、エファビレンツをゆっくり代謝する遺伝的な傾向があるので、薬剤濃度が高くなり、副作用が顕著になり、体重が増加しない。エファビレンツを速く代謝する人ほど、体重が増加する可能性が高いようである。
CROIで発表されたいくつかの試験でも、体重増加に関連した新しい結果が報告された。 これらの試験では、ART開始後の体重増加は遺伝的素因に影響される可能性があるが、代謝率や食物摂取量の変化には影響されないことが明らかになった。
ARTを開始した30名を対象にした試験では、安静時代謝率、カロリー摂取量、酸素消費量に変化を認めなかったにもかかわらず、12ヵ月後、参加者は平均15.7 kg体重が増加したことが分かった。300名を対象にした別の試験では、4年間のART後の大幅な体重増加は、大部分が治療前の体重の多さと身体活動の少なさのせいであったことが分かった。
3つ目の試験は、体重増加と神経精神系の副作用が同じ遺伝経路を介した影響を受けている可能性について調べた。インテグラーゼ阻害剤を服用している220名とプロテアーゼ阻害剤を服用している62名の体重と神経精神系の症状を比較した。6ヵ月間の治療後、インテグラーゼ阻害剤を服用していた場合、特定の遺伝的変異を持っている人は、他の2つの変異を持っている人に比べて、体重増加が有意に大きかったが、プロテアーゼ阻害剤を服用していた場合はそうではなかった。同群では、神経精神系の副作用がよくみられた。
関連サイト
- Read the news story about new mothers in full on aidsmap.com
- Read about the other weight gain research on aidsmap.com
- Visit our conference news pages for all our CROI 2020 coverage
本記事は日本国外の治療に関するニュースであり、本邦では承認されていない薬剤あるいは本邦とは異なる効能・効果、用法・用量で使用されている成績が含まれていますので、ご注意下さい。
記載されている医薬品のご使用にあたっては、必ず各薬剤の製品添付文書をご参照下さい。